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・最終更新日(2015.10.28)
・ホームページ移転(2014.5.26)

都市を冷やす「日射照り返し抑制効果を持つ太陽熱高反射材の開発」

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このホームページでは,大阪市立大学大学院・生活科学研究科(居住環境材料学分野)で取り組んでいるヒートアイランド対策に関する研究成果を紹介しています。ご意見,ご質問等はこちら(外部リンク)のメールフォームでお受けしております。酒井宛に「メッセージを送信」を選んでください。

[着眼点]
・現在の太陽熱高反射材を道路や建物壁面に使用した場合に問題となる反射日射による周辺の温熱環境の悪化を,高反射材に再帰反射という特殊な反射指向性を付与することで防止し,道路や壁面にも適用できるヒートアイランド対策用の新材料の開発を目指す。


通常の高反射材(左)と再帰反射材(右)
図 照り返し抑制効果をもつヒートアイランド対策用材料の開発(建物の場合)



通常の高反射舗装(左)と再帰反射性舗装(右)
図 照り返し抑制効果をもつヒートアイランド対策用材料の開発(道路の場合)


[研究背景]
・年々深刻化するヒートアイランド現象
その原因特定は進んでおり,以下に三等分される。
 1)建物自身の蓄熱と夜間の放熱
 2)建物の冷暖房や給湯など運用に伴う排熱
 3)道路,自動車からの排熱
対策として,設備系の高効率化,活動の自粛が進んでいるが,建物や道路といった物体自体の熱特性に絡む問題は,物性そのものを変えない限り対策を講じることは難しい。
 緑化,保水化はその一例であるが,高反射化は,メンテナンスが不要なため,緑化や保水化の難しい高層ビルなどへの適用が期待されている。

[導入の意義]
・夏季の猛暑は,多くの人が熱中症を発症するなどの深刻な健康被害を引き起こしており,ヒートアイランドへの対策は,住民にとって切実な課題である。省エネなど機器面での高効率化や住まい方といったライフスタイルの見直しも必要であるが,もっとも大きな原因である道路や建物自体の蓄放熱特性の改善は欠かせない技術である。都市インフラとしての建物躯体や街路といった街区を形成している構築物の表面被覆を規制する手法は,公益をまもるためのものだけに,条例化など行政施策として実施する以外に手立てがない。暑熱環境を緩和する機運を住民と共有しながら,住みやすい街づくり政策の一環として技術の適用を試みる社会的意義は大きい。

[研究の位置づけ]
・環境省ヒートアイランド対策マニュアル(2012.3)において,再帰反射による反射日射の低減技術が,対応策の1つとして紹介されている。

[謝辞]
本研究は,以下の助成を受けたものである。
・2007-2009年度科学研究費補助金(基盤研究(C):研究代表者:酒井英樹)「ヒートアイランド対策に有効な反射指向性を有する太陽熱高反射材の開発」
・2012-2013年度JST研究成果最適展開支援プログラムA-Step(ステージ探索タイプ:研究代表者:酒井英樹)「次世代遮熱性舗装体によるヒートアイランド対策技術の開発」
・2013-2015年度科学研究費補助金(基盤研究(C):研究代表者:酒井英樹)「年間を通して理想的な日射反射特性を示す指向性反射材による環境負荷軽減建材の開発」

[発表論文等]
[1] 酒井英樹,永村一雄,井川憲男,再帰反射材の照り返し抑制効果,日本建築学会構造系論文集第630号(2008)1239-1244
[2] 酒井英樹,小林春奈,永村一雄,井川憲男,屋外測定による再帰反射材の日射に対する再帰反射率推定,日本建築学会構造系論文集第632号(2008)1713-1718
[3] 酒井英樹,伊與田浩志,永村一雄,井川憲男,指向性を有する再帰反射材の試作及び日射反射特性の測定:指向性再帰反射材によるヒートアイランド対策その1,日本建築学会構造系論文集第665号(2011)1229-1234
[4] H.Sakai, K.Emura, N.Igawa, H.Iyota, Reduction of Reflected Heat of the Sun by Retroreflective Materials, Journal of Heat Island Institute International Vol.7-2 (2012) 281-221
[5] H.Iyota, H.Sakai, K.Emura, N.Igawa, H.Shimada, N.Nishimura, Method for Measuring Solar Reflectance of Retroreflective Materials Using Emitting-Receiving Optical Fiber, Journal of Heat Island Institute International Vol.7-2 (2012) 213-217
[6] 酒井英樹,太陽熱高反射材料の開発と評価(第3編第1章)「断熱材/遮熱材の開発と応用および評価・試験法」,R&D支援センター編(2012)193-202
[7] 酒井英樹,表面凹凸構造による再帰反射発現の原理とその設計,日本ヒートアイランド学会第9回全国大会予稿集(2014)62-63

[各種資料]
[1] The Second International Conference on Countermeasures to Urban Heat Islands,(2009.9.21Berkeley)発表スライド(pdf format)

[関連リンク]
[1] The Second International Conference on Countermeasures to Urban Heat Islands, 2009
[2] 環境省ヒートアイランド対策(参照 2015-10-28)

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